倉庫業法1条(目的)には「この法律は、倉庫業の適正な運営を確保し、倉庫の利用者の利益を保護するとともに、倉庫証券の円滑な流通を確保することを目的とする。」とあり国民生活に欠かせない重要物資を大量かつ安全に保管し、物流の結束点として生産者と消費者を結ぶうえで極めて公共性の高い産業といえます。
そのため、倉庫業を営むにあたっては、国土交通大臣の行う登録制がとられ、登録後も倉庫の施設設備基準の維持と倉庫管理主任者による適切な管理が求められています。
倉庫業は、一度登録を済ませてしまうと更新手続きはありません。しかし、倉庫の種類の変更があった場合や、倉庫を新設又は増築する場合、保管する物品の種類を変更する場合は変更登録しなければなりません。また、倉庫を新築する場合には、登録の場合と同様にできるだけ建設に着手する前又は権利の取得前に変更登録申請を行うようにしてください。
※現に営業に使用されている倉庫の改造については、変更登録前の着工は倉庫業法の違反となりますので注意が必要です。
T建築基準法・都市計画法上の留意点
準住居地域を除く住居地域や開発行為許可を有しない市街化調整区域では倉庫業を営む倉庫として原則認められません。
U倉庫業法上の留意点
国土交通大臣の行う登録を受けなければなりません。
登録拒否事由(倉庫業法第6条)
@申請者等が欠格事由に該当する
A施設設備基準に適合しない
B倉庫管理主任者を確実に選任すると認められない
寄託でないもの
預金等の消費寄託、運送契約に基づく運送途上での一時保管、修理等の役務のための保管、自家保管
営業でないもの
農業倉庫、協同組合の組合員に対する保管事業
政令で除外されているもの
保護預かり、修理等他の役務の終了後に付随して行われる保管、ロッカー等外出時の携行品の一時預かり、駐車場、駐輪場
「倉庫業」
寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業です。貸倉庫は、主に賃貸借契約として行われています。したがって貸倉庫には、保管料の定めや、保管料の掲示義務はありませんので、貸倉庫は、倉庫業法における倉庫に該当しません。。
「トランクルーム」
倉庫の全部又は一部において消費者から寄託を受けた個人の物品の保管の用に供する倉庫です。トランクルームにおいて消費者から収受する料金については、消費者にとって誤解のおそれのないわかりやすい料金設定をし、届出及び掲示を行う必要があります。
また、トランクルームはある一定の基準に適合することにより優良である旨の国土交通大臣の認定を受けることができます。この認定を受けるためには、倉庫業の登録はもちろんのこと、保管場所、保管方法、保管性能の明確性や相談窓口の開設、担当者が常時いるなど認定後も維持されていなければなりません。したがって、この「認定を受けているトランクルーム」は、一般消費者より安心して利用できる目安となります。
(1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
(2) 倉庫の所在地
(3) 国土交通省令で定める倉庫の種類(トランクルームを含む)
(4) 倉庫の施設及び設備
(5) 保管する物品の種類
(6) その他国土交通省令で定める事項
(7) 登録年月日及び登録番号
※登録事項中(1)〜(6)の事項を変更しようとするときは、軽微な変更を除き、変更登録を受けなければなりません。
※軽微な変更とは、営業用倉庫の機能を廃止する「倉庫の用途廃止」や登録事項中の(1)(2)等の事項をいいます。
1類倉庫 | 第1類物品、第2類物品、第3類物品(第7類物品を除く)、第4類物品(第7類物品を除く)、第5類物品又は第6類物品(第7類物品を除く) |
---|---|
2類倉庫 | 第2類物品、第3類物品、第4類物品、第5類物品又は第6類物品 |
3類倉庫 | 第3類物品、第4類物品又は第5類物品 |
野積倉庫 | 第4類物品又は第5類物品 |
水面倉庫 | 第5類物品 |
貯蔵槽倉庫 | 第1類物品及び第2類物品のうちばらの物品並びに第6類物品 |
危険品倉庫 | 第7類物品 |
冷蔵倉庫 | 第8類物品 |
トランクルーム | 一般消費者から寄託を受けた物品(家財、書籍、衣類、帳票類等) |
特別の倉庫 |
災害の救助その他公共の福祉を維持するため物品の保管を必要と認めて国土交通大臣が定める倉庫 |
※イメージは、第1類倉庫から第3類倉庫は建屋型の倉庫で、野積倉庫は柵や塀で囲まれた倉庫です。貯蔵槽倉庫はサイロやタンクなどの倉庫です。
第1類物品 | 第2類物品、第3類物品、第4類物品、第5類物品、第6類物品、第7類物品及び第8類物品以外の物品 |
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第2類物品 |
麦、でん粉、ふすま、飼料、塩、野菜類、果実類、水産物の乾品及び塩蔵品、皮革、肥料、鉄製品その他の金物製品、セメント、石こう、白墨、わら工品、石綿及び石綿製品 |
第3類物品 | 板ガラス、ガラス管、ガラス器、陶磁器、タイル、ほうろう引容器、木炭、パテ、貝がら、海綿、農業用機械その他素材及び用途がこれらに類する物品であつて湿気又は気温の変化により変質し難いもの |
第4類物品 | 地金、銑鉄、鉄材、鉛管、鉛板、銅板、ケーブル、セメント製品、鉱物及び土石、自動車及び車両(構造上主要部分が被覆されているものに限る。)、大型機械その他の容大品(被覆した場合に限る。)、木材(合板及び化粧材を除く。)、ドラムかんに入れた物品、空コンテナ・空びん類、れんが・かわら類、がい子・がい管類、土管類、くづ鉄・くづガラス・古タイヤ類等野積で保管することが可能な物品 |
第5類物品 | 原木等水面において保管することが可能な物品 |
第6類物品 | 容器に入れてない粉状又は液状の物品 |
第7類物品 | 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第二条の危険物及び高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)第二条の高圧ガス |
第8類物品 | 農畜水産物の生鮮品及び凍結品等の加工品その他の摂氏十度以下の温度で保管することが適当な物品 |
倉庫営業の登録申請は、国土交通大臣にする申請書(倉庫有効面積10万u以上)は、主たる営業所の所在地を管轄する地方運輸局長を経由して国土交通大臣に申請します。地方運輸局長にする申請書(倉庫有効面積10万u未満)は、所轄運輸局長に提出します。
倉庫業登録は、国土交通大臣にする申請は、概ね3カ月、運輸局長にする申請は、概ね2カ月の標準処理期間を設けています。
【1】倉庫業登録申請書
※申請書には、下記の事項を記載します。
1.申請者の住所・氏名
2.営業所の名称、所在地及び連絡先
3.資本金又は出資の総額
4.倉庫の所在地、種類及び保管する物品の種類
5.倉庫の施設及び設備
6.営業開始予定日
【2】倉庫明細書
※倉庫の規模や構造の詳細、付属設備などを記入します。
【3】倉庫施設基準別添付書類チェックリスト
※添付書類の目次です。
【4】倉庫及び敷地についての使用権原を証する書面
※登記簿謄本(土地・建物)や賃貸借契約書等
※倉庫の権利を取得する前に登録申請を行う場合は、売買契約書の写し等
※倉庫の建設に着手する以前に登録申請を行う場合は、建築確認書の写し、建築見積書等を提出することもできます。但し、登録は使用権原を取得することが条件とされます。
【5】倉庫が施設設備基準又は関係法令に適合していることを証する書面
※倉庫の種類により異なりますが、建築基準法第6条第1項各号に該当する倉庫(1〜3類倉庫、貯蔵用倉庫等)は、建築確認済証(用途欄のコード08510/倉庫業を営む倉庫であることが必要です。)・完了検査済証が該当します。
※【4】と同様に建築基準法第6条第1項各号に該当する倉庫が着手前に登録申請をする場合は、倉庫が完了した時点で完了検査済証を提出します。
※営業倉庫以外の用途に供している建築物を営業倉庫に転用する場合は、用途変更に係る確認済証を提出します。
※これら倉庫は、軸組み、外壁及び荷ずりが2500N/u以上の荷重に耐えられ、倉庫の床強度が3900N/u以上の積載荷重に耐えられることを証する書面。
【6】倉庫付近の見取図
※主要道路、鉄道、河川、停車場、橋梁その他建築物等により、その倉庫の位置がわかるもの。
【7】倉庫の配置図
※原則として縮尺1/300〜1/1200とします。
【8】倉庫の平面図、立面図及び断面図
※平面図及び立面図は、原則として縮尺1/50〜1/200とします。
※断面図は、原則として縮尺1/50とします。
【9】その他矩形図等、建具表等
※倉庫の屋根、軸組み、外壁及び荷ずり並びに床の構造を記載した図面
※建具の材質及び寸法、位置、防犯・防鼠・防水等諸措置、形状・強度等の仕様、防火整備の詳細を明示した図面
【10】倉庫管理主任者関係書類
※倉庫管理主任者の配置の状況や資格を記載した書類を提出します。
倉庫管理主任者の資格基準
(1)実務経験を有していること
イ 倉庫の管理の業務に関して二年以上の指導監督的実務経験を有する者
ロ 倉庫の管理の業務に関して三年以上の実務経験を有する者
(2)講習を受講していること
イ 国土交通大臣の定める倉庫の管理に関する講習を修了した者
(3)国土交通大臣が上記(1)又は(2)と掲げる者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者
【11】法人登記・個人関係書類
※法人は登記事項証明書、個人は戸籍抄本等
【12】宣誓書用
※法人の場合は、役員欄に記載されているもの、取締役及び監査役全員分が必要です。
【13】倉庫寄託約款
※倉庫書類約款は営業を始める30日前までに届出が必要ですが、登録申請の際に添付することにより、登録後の届出を省略できます。
※上記は、1〜3類倉庫を想定した内容です。【1】〜【13】までの必要書類は倉庫の種類により異なります。
倉庫業の登録後に登録事項を変更しようとするときは、軽微な変更を除き、変更登録を受けなければなりません。
1.倉庫の種類の変更
※「1類倉庫」を「危険品倉庫」に変更する場合等施設又は設備の変更を伴う倉庫の種類の変更及び「1類倉庫」を「1類倉庫・トランクルーム」とする場合等施設又は設備に変更を加えずに倉庫の種類のみを変更する場合も変更登録になります。
2.倉庫の施設及び設備の変更
※倉庫の新設・増設等、規模の拡大を伴う主要構造の変更や自家用倉庫を営業用倉庫に転用する場合も変更登録が必要です。
3.保管する物品の種類の変更
※当該倉庫において保管する物品の種類を変更する場合も変更登録を要します。
変更に係る倉庫の所在地を管轄する地方運輸局長に申請します。
軽微な変更の届出の必要な場合
@ 倉庫の用途廃止
A 氏名・名称・住所・代表者の氏名の変更
B 倉庫の所在地の変更
C 営業所の名称、所在地及び連絡先の変更
D 資本金又は出資の総額の変更
E 倉庫の名称の変更
F 倉庫の使用権原内容の変更
G 倉庫業者が他の倉庫業者に倉庫を現状のまま譲渡等した場合
H 倉庫の主要構造以外の構造の変更又は屋根及び外壁に係る配管の設置その他の構造耐力上支障がない軽微な変更
上記ADは、所轄地方運輸局長に届出します。
上記@BEFGHは、当該変更に係る倉庫の所在地を管轄する地方運輸局長に届出します。
上記Cは、当該変更に係る営業所の所在地を管轄する地方運輸局長に届出します。
※届出書は、届出事由の発生後30日以内に提出しなければなりません。
『イ』期末倉庫使用状況報告書
『ロ』受寄物入出庫及び保管残高報告書
『ハ』倉庫証券発行回収高及び流通高報告書
『イ』及び『ロ』は、四半期毎に経過後30日以内、『ハ』は毎年4月30日までに提出することとなっています。
内 訳 |
基本報酬(税抜き) |
法定費用(証紙代) |
倉庫業新規登録 |
350,000円〜 |
90,000円 |
倉庫業変更登録 |
300,000円〜 |
30,000円/新設倉庫1個あたり |
優良トランクルーム認定 |
200,000円〜 |
10,000円/1個につき |
登録に係る事前調査 |
40,000円 |
- |
軽微な変更届 |
30,000円〜 |
- |
期末倉庫使用状況報告書 |
35,000円〜 |
- |
受託物入出庫及び保管残高報告書 |
35,000円〜 |
- |
※基本報酬には別途消費税が加算されます。
※交通費・公的書面等の実費については別途頂戴いたします。
※報酬額は、難易度、倉庫の数等により変わります。
※登録に係る事前調査費用は登録申請が可能となれば頂戴しません。
※費用は目安になります。お客様と面談のうえ、ご依頼内容により正式な御見積書を提示させていただきます。