内容証明郵便活用のケース

 

【クーリング・オフで契約解除】

クーリング・オフは、消費者保護のために、特定商取引に関する法律等に認められており、一定期間内であれば、理由の如何を問わず、書面により一方的に申し込みの撤回又は契約の解除ができる制度のことをいいます。

 

訪問販売(特定商取引法9条)、電話勧誘販売(特定商取引法24条)、特定継続的役務提供(特定商取引法48条)は法的書面の交付日から8日間、連鎖販売取引(マルチ商法/特定商取引法40条)は法的書面の交付日または商品の受取日のいずれか遅い日から20日間で業務提供販売誘因取引(内職・モニター商法/特定商取引法58条)は法的書面の交付日から20日間がそれぞれのクーリング・オフ期間となります、この期間を経過すると、契約の申し込みの撤回、解除ができなくなります。

 

その他、割賦販売(クレジット契約、ローン契約)、宅地建物取引契約、ゴルフ会員権契約など特定商取引法以外の契約でもクーリング・オフ制度が認められています。

 

クーリング・オフは、内容証明郵便によることは要件とされていませんが書面で行う必要はあります。証拠を残すために配達証明付内容証明が望ましいといえます。

 

クーリング・オフした場合、買主の支払った代金は売主に全額返金の請求ができます。買主が受領した商品があれば、売主の費用負担で、その商品の引き取りを請求できます。

 

 

【不当な勧誘による契約取消し】

消費者契約法は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差是正を目的に、事業者の一定の行為(不当な勧誘、不当な契約条項)により消費者が誤認や困惑して結んだ契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができます。

 

簡単に説明すると、消費者契約法は、すべての消費者取引に適用されます。特定商取引法のように定められたものだけではなく、個人と事業者間の取引であれば、消費者契約法の適用を受けます。ただし、事業者の不当行為により誤認や困惑して契約の申し込みをしたことを消費者側が立証しなくてはなりません。

 

消費者契約法で取り消しできる期間は、誤認に気付いた時又は困惑状態から脱した時から6ヶ月行使しないとき、又は当該契約締結の時から5年を経過したとき取消権は時効によって消滅してしまいます。

 

消費者契約法での契約解除の方法は、クーリング・オフのように必ず書面で解除する必要はありません。しかし、確実に相手方へ意思表示を伝える必要があるので、やはり配達証明付内容証明がよいでしょう。

 

 

【一方的に送られてきた商品の引取請求】

商品の売買契約は、売主と買主の売買の意思の合致により成立します。一方的に送られてきた商品には、そもそも意思の合致はありませんので、消費者に代金支払義務や商品の返還義務はないことになります。そのまま放置しておいても契約は成立しないのが原則です。

 

そして、特定商取引法59条には、商品が送られた日から14日間(または相手業者に商品の引取りを請求した場合は、その請求の日から7日間)、商品の送付を受けた者が購入の承諾をせず、かつ、販売業者がその商品の引取りをしないときは、その送付した商品の返還を請求することができないことになります。したがって何もしなくても14日間あるいは7日間経過すれば勝手に処分できるようになります。

 

しかし、後日の紛争を防ぐために、販売業者に対し、「買う意思がないので引取ること、引き取りがない場合は勝手に処分する旨の通知を配達証明付内容証明郵便で出しておくことがよいでしょう。

 

因みに、このように販売業者が、商品購入の申込みを受けていない者に対して、一方的に商品を送付し契約の誘因を図ることを、ネガティブ・オプションと言います。

 

 

【時効中断のための催告】

催告とは、口頭や書面で裁判外において相手方に貸金等の債務の履行の請求をすることをいいます。この催告は6か月以内に裁判上の請求等をしないと時効の中断効がありません。(民法153条)

 

例えば、あと1か月で時効が完成するという場合に、催告をすることにより、催告の日から6か月間、時効が延長されることになります。この間に裁判上での訴えの提起や、債務承認がなければ消滅時効は完成してしまいます。

 

催告は、債権者側で消滅時効の完成はしていないと立証する必要があるので、その証拠を残すために配達証明付内容証明にすべきです。

 

※ 催告は何度繰り返しても、最初の一度だけしか時効の延長はされません。

 

 

【消滅時効の援用】

消滅時効とは、債権者がその権利を一定期間行使しないことによって、その権利が消滅する制度です。そして、債権者の権利を消滅時効にかからしめるためには、債務者が一定期間その債務を支払わないこと、債務者が消滅時効を援用する意思表示を債権者に対してすることが必要となります。

 

消滅時効の起算点は、権利を行使することができる時ですが、具体的には、確定期限付き債権及び不確定期限付き債権は「期限到来時」、期限の定めのない債権は、「債権成立時」、不法行為に基づく損害賠償請求権は「被害者が損害及び加害者を知った時」です。

 

消滅時効の期間は、一般の民事上の債権は10年です。また、商行為によって生じた債権は5年です。そのほかに、債権の種類によって消滅時効の期間が定められています。飲食店等の飲食代金債権(1年:民法174条)、離婚に伴う財産分与請求権(2年:民法768条2項)、工事の請負代金債権(3年:民法170条)

 

 

 

 

【指名債権の譲渡の通知】

指名債権の譲渡とは、債権者(A)と債務者(B)との特定されている貸金債権(甲債権)を指名債権といいます。この債権を例えば、Cに譲渡するためAとCとの間で債権譲渡契約を締結します。この債権の譲渡契約は債務者であるBの承諾を得ずに締結することはできますが、後のトラブルを防止するためにAからBに対し債権譲渡の通知を行います。

 

このAからBに対して行う債権譲渡の通知は、確定日付のある証書により行うことで、二重譲渡によるトラブルのを防止することができるのです。

 

例えば、先の甲債権をAがCに対し譲渡し確定日付のない証書でBに通知します。さらにAがDに対し甲債権を二重に譲渡し確定日付のある証書でBに通知します。この場合、CとDはBに対し対抗関係に立ちますが、DがCに対し債権者であると主張しBに弁済を求めることができます。(Bへの譲渡通知の到着がDよりCが早くても確定日付を有していない証書ではCはDに債権者であると主張できません。)

 

また、内容証明郵便に付される日付は、確定日付の証書にあたりますので債権譲渡の通知は、配達証明付内容証明にするとよいでしょう。

 

(指名債権の譲渡の対抗要件)
第467条 指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2  前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

 

 

【建物賃貸借契約の解除通知】

建物賃貸借の場合、賃借人に債務不履行があっただけでは、賃貸借契約の解除事由にはあたらず、信頼関係が破壊状態にあることが解除事由に必要とされています。具体的には、「賃借人が賃料を1か月分滞納した」というだけでは、債務不履行にはあたりますが、それだけでは解除は認められない傾向にあります。信頼関係破壊の状態にあるとは、借主が賃料を数か月分以上(3か月分以上)滞納した場合に認められる傾向にあります。

 

そのほか、用法違反(住居として賃貸したのに事務所として利用している、ペット飼育不可という契約なのにペットを飼っている等)の場合も賃貸借契約の解除事由となりますが、軽微な用法違反では解除事由とはならず、重大な用法違反でなければ認められません。

 

家賃の滞納が3か月を超えた場合には、「指定期間内に支払いがない場合には賃貸借契約を解除する。」旨の予告通知書を賃借人に対して発送します。契約解除の通知後も滞納家賃の支払いがなく、建物の明け渡しにも応じない場合は、建物明渡し請求訴訟を裁判所に提起することとなり、この解除の通知は裁判所に提出します。この解除通知も配達証明付内容証明にするべきです。

 

 

【遺留分減殺請求】

兄弟姉妹以外の相続人には、被相続人の意思によっても奪うことのできない相続財産の割合が認められており、この相続財産の割合を「遺留分」といいます。(民法1028条)

 

遺留分は、直系尊属(亡くなられた方の父母・祖父母等)のみが相続人であるときは相続財産の3分の1、その他の場合(亡くなられた方の配偶者・子)には相続財産の2分の1とされています。

 

遺留分を侵害された相続人は、遺留分を侵害するものに対し、遺留分に満たない部分を取り戻すことを請求することができます。これを遺留分減殺請求権といいます。(民法1031条)

 

遺留分減殺請求権を行使するかどうかは遺留分権利者の自由ですが、相続開始及び遺留分を侵害されていることを知った時から1年以内に権利を行使しなければ時効により権利が消滅してしまいます。また、相続開始の時から10年経過した後の権利行使は認められません。(民法1042条)

 

遺留分の減殺請求は、遺留分を侵害するものに対し、請求の意思表示を通知によって請求します。請求に応じない場合は、家庭裁判所に遺留分減殺調停へと進むケースも想定されます。請求の事実書面として、この通知は配達証明付内容証明によるべきです。

 

 

【養育費の支払いを請求する】

離婚の際に、夫婦間で決めておくべき事項として、@財産分与、A養育費、B親権、C面会交流、D慰謝料があげられます。子どもがいる場合には、親権、養育費について決めなければなりません。これらについて合意が成立しなかった場合は、夫と妻の資産や収入、それらの事情を考慮して、裁判所が定めます。

 

こうして、定められた養育費も、支払いが滞ると、滞納養育費として支払いを請求することになります。当初は、メール、電話などで支払い要求するのが一般的ですが、なお支払いがない場合は、今後の裁判による請求も視野に入れなければなりません。したがって、書面で請求する際は、養育費の金額、滞納の事実、額、支払い期限について明確にし配達証明付内容証明により請求するのが望ましいでしょう。

 

 

【株主総会の招集を請求する】

原則、株主総会は、取締役会設置会社においては、代表取締役が、取締役会決議に基づいて招集し、非取締役会設置会社においては、取締役が招集を行います。しかし、株主も一定の要件を満たせば、株主総会の招集を請求することができます。(原則、6か月前より引き続き総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主。非公開会社の場合には、保有期間の要件がありません。)

 

適法な総会招集請求の後、遅滞なく招集の手続が行われない場合、又は招集請求があった日から8週間以内の日を会日とする招集の通知が発せられない場合もしくは公告がなされないときは、請求をした株主は、裁判所の許可を得て、総会を招集することができます。

 

そして、裁判所の許可を申し立てる際の添付書類として、会社の登記事項証明書や定款のほかに株主総会招集請求書(配達証明書付内容証明郵便)を提出します。

 

 

 

 

 

 

 

 

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